名建築内で繰り広げられる、ふたりの建築家の創造への欲望。
心揺さぶられる建築はいつも、つくられた時代の気分や雰囲気、つくった人の愛情、そこで暮らす、もしくは暮らしていた風景が、自然と伝わってくるような存在としてある。 アイリーン・グレイという女性建築家が設計した『E.1027』という住宅も、南仏のやわらかな光や、穏やかな風を味方に、スクリーンから語りかけてくるような建築である。 いま私たちが暮らす多くの家が、寝室、リビング、ダイニングというような、目的を叶える部屋の集合としてあるのとは違い、あぁここで眠ったら気持ちよさそうだな、とか、ここでその椅子に座ってあの緑を眺めながらご飯を食べたいな、というように、さまざまな使い方を自然と引き起...
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