カラフルな音が弾ける、明るくエネルギッシュなベック最新型。

文:山澤健治

今世紀を代表するポップ・アイコンと呼ばれることへのプレッシャーや反発があったわけではないだろうが、グラミー賞受賞作となった2014年のベックの前作『モーニング・フェイズ』は、戦前のブルースやフォーク、カントリーといった自らのルーツともいえる弾き語りミュージックを礎石につくりあげた、穏やかで静謐な作品だった。 あれから3年半。通算13作目となる新作『カラーズ』は、前作から一転、ポップ・アイコンたる才能を思う存分に発揮したキャリア史上最強のポップ・アルバムに仕上がっている。こんな弾けたベックを待っていたというファンもきっと多いことだろう。 ベックの最新型ポップ作が生まれた背景には、共同...

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