50年を経て私たちに届けられた、作家・三島の正直な言葉。
三島由紀夫は正直な人だ。だから、思想や信条が違っても悪意をもたない。本書は、自決9カ月前に収録されながら、今年1月にその存在を報じられるまで長く封印されてきた肉声を活字化したものである。質問者は三島作品の翻訳家だが、彼がなんの目的で三島邸を訪れたのか、せっかく収録したものがなぜ封印されたのかなど、疑問の答えは出ていない。その詳細は、未公開テープの発見者である小島英人(TBS)が巻末に記している。 インタビューの内容は、三島ならこう言うだろう、こう考えるはずと納得することばかりで、過激な言葉を発しているわけでも、特別の秘密を明かしているわけでもない。生前に公開されても問題なかった内容...
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