フェルメールの時代にもあった、愛憎劇やバブルに共感する。
上野の森美術館のフェルメール展と時期を合わせて封切られる、17世紀オランダを舞台とした映画だ。ヨハネス・フェルメールは登場しない。しかし、巨匠フェルメールの絵画を彷彿とさせる衣装を纏った女主人公らと、その肖像画を描くことになる若き貧乏画家のドラマが、フェルメールの作品世界へのオマージュに満ちた美しい映像で紡ぎ出されている。特に当時の街並みや人々の暮らしぶりの再現は見事で(製作費は2500万ドルとも!)、フェルメールの絵画にも見られる白い頭巾や襞襟といった衣装も興味深い。 一方、物語は主人公ソフィアの清廉な雰囲気を裏切るかのように、ドロドロの不倫劇へと進んでいく。裕福な家に嫁いだ女と貧乏...
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