民話や児童書から浮かび上がる、性と食、生と死、そして愛。
もし好きな男性から「食べちゃいたいほどかわいい」と言われたら、その女性は嬉しく感じるだろうか。たとえそれが無邪気に発した言葉であっても、ゾクゾクするような、あるいはゾッとするような、不思議な感覚を体内に宿すのではないか。 民俗学や日本文化論を研究する著者は、「食べること/愛することや交わることはきっと、ひそかに、かたく繋がれているのである」と説く。グリム童話のひとつで、困っている姫を助けようと申し出たカエルが提示した条件は、姫がともに食事をすること。そして寝所をともにすることだった。 モーリス・センダック著の人気絵本『かいじゅうたちのいるところ』には、怪獣たちと遊んでいた主人公...
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