取り戻した“魔法”のかかった、光と闇のフォークトロニカ

文:赤尾美香

サム・ジェンダースとマイク・リンゼイが2003年にロンドンで結成した6人組、タンは05年アルバム・デビュー。07年に3作目を発表した後サムが脱退するも、バンドはマイクを中心に継続してきた。有機的なフォークとモダン・エレクトロニカを融合したサウンド(=フォークトロニカ)が特徴で、とりわけ初期作品においては、その融合に生々しい歌のハーモニーが重なり、素朴さの中に神秘的なムードを湛えていた。 5年ぶりとなるタンの新作は、サムがバンドに復帰しオリジナル・メンバーによる録音が実現。マイクがサムを誘い、スロウズなるユニットでアルバムを制作したこと(16年)や、マイクとローラ・マーリング(英国のシン...

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