プロになる夢を諦めなかった男に、自分を重ねてみてほしい。

文:阿部広太郎

人はいつ諦めることを知るのだろう。目標に対して心が折れてしまった時? 才能がないと他人から言われてしまった時? はたまた現実を直視しなくてはいけない時だろうか? 本作は、10歳の頃から将棋にのめり込んできた“しょったん”こと瀬川晶司が、26歳というプロ棋士になるための年齢制限の壁にぶち当たる話だ。奨励会に入会し、22歳の夏に三段昇段を果たすしょったん。26歳の誕生日までに四段になれればプロ棋士になれる。あと一段が、永遠の様に感じる。上には上がいると、突きつけてくる勝負。負けても、この踊り場から降りる訳にはいかない。夢にまっすぐ向き合うのが怖いから、現実から逃げるように仲間と遊んでしまう...

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