シーンや台詞をもとに描き出す、渾身の絵地図が楽しい!

文:久保玲子

J・R・R・トールキンが描いた地図を眺めながら『指輪物語』を読むと、フロドと仲間たちの旅の風景が浮かび上がり、その遥かなる道のりがリアルな感動として押し寄せてくる。近年発見された『中つ国の建国スケッチ』からは、トールキンがエルフ、ホビット、ドワーフ、人間といった多様な種族と、文化や歴史、住環境を詳細に創造してまずは地図に起こし、そこから壮大な物語を紡いだことがわかる。また残された膨大なスケッチや、色彩も美しいイメージ画からは、彼が優れたイラストレーターであったと知れる。 そんなトールキン原作の映画『ロード・オブ・ザ・リング』の地図が「完成までに1000時間を要した」作品として描かれてい...

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