迷宮入り事件の調査から見えた、真の異文化理解に必要なこと。

1961年、当時のオランダ領ニューギニアの海岸で、アメリカの大富豪、ネルソン・ロックフェラーの息子、マイケルが失踪し、2度と戻らなかった。本書は、迷宮入りしたこの事件の真相を、ジャーナリストである著者が追ったノンフィクションである。 ネルソンは、世界各地の先住民がつくる作品をアートとして展示する博物館を開館していた。マイケルは展示品の収集のため、ニューギニア島の少数民族、アスマットの所へ向かう。彼らは首狩りを行うことでも知られていた。ところが、買い付けの途中で船が転覆し、マイケルは行方不明となる。 著者は文献渉猟を進めるうち、マイケルはアスマット族に食べられて死んだのではという疑念...

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