宮沢賢治が樺太で感じたものは?訪れた作家の足跡から島に迫る。
北海道の北側に位置するサハリン島は、アイヌやニブフ、ウィルタなどの少数民族が居住する島だった。南北に細長く、面積は北海道と同じくらい。日本ではかつて樺太島と呼ばれ、島の領有はこれまで何度か日本とロシア(ロシア帝国、ソ連を含む)との間で変遷している。日露戦争後の1905年には、北緯50度線を国境として南北に分割され、北部はロシア帝国(のちにソ連)領、南部の南樺太は日本領に。第2次世界大戦後は日本が南樺太の領有を放棄し、国際法上は帰属未定となったが、現在はサハリン州として事実上ロシアに編入されている。 ノンフィクション作家の著者が本書で綴るのは、かつて多くの文学者が旅をしたこの島の歴史と風...
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