エレクトロニック・ミュージック界の寵児が手がけた、電子音にギター・リフが重なる神秘的かつ官能的な音世界

文:中安亜都子

【Penが選んだ、今月の音楽】 エレクトロニック・ミュージック界の寵児ニコラス・ジャーと、名マルチ・プレイヤーのデイヴ・ハリントンによるエレクトロニック・ジャム・バンドが活動休止を解き、8年ぶりに放つ2作目。前作が「失われたデヴィッド・リンチのSF映画のサウンドトラック」とも評された彼らだが、今作でも神秘的で官能的な音世界は健在。ジャーが繰り出すマットな電子音にハリントンのブルージーなギター・リフが重なり、緊張と弛緩の狭間にクラブ・ミュージックとピンク・フロイド的サイケ・ロックの接点が浮かび上がる。 静かなピアノ・サウンドが聴き手の魂を刺激する、イタリア名ピアニス...

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