石井裕也監督が韓国で撮って気づいたのは、「苦悩」が武器になるということ『アジアの天使』

文:細谷美香

【Penが選んだ、今月の観るべき1本】 辞書編纂を描いた『舟を編む』、最果タヒの詩集を映画化した『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』などを手がけた石井裕也監督が撮った『アジアの天使』は、言葉によるコミュニケーションの、その先を描いた作品と言えるかもしれない。ほぼ韓国人のスタッフでオールロケが行われた。 石井監督は、海外で映画を撮りたいと思った理由として「言葉という手持ちの道具を手放してみたかったんです」と語る。 「韓国の現場を経験し、日本ではお互いのおもんぱかりや気遣いによって自動的に進んでいること、いつの間にか構築されたシステムやルールが多かったと実感しました。でも、い...

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