乳がんを克服して生み出された、グルーヴィーで心地よい「ハイエイタス・カイヨーテ」の最高傑作

文:山澤健治

【Penが選んだ、今月の音楽】 スピリチュアル・ジャズからポスト・ロックまで多彩な感覚を内包するオーガニック・サウンドが熱く支持される、オーストラリアのフューチャー・ソウル・バンド、ハイエイタス・カイヨーテ。6年ぶりとなる3作目『ムード・ヴァリアント』は、強烈な個性と存在感でバンドを牽引するナオミ・“ネイ・パーム”・ザールフェルトの乳がんを克服して生み出された作品である。その音を聴けば、誰もがその帰還と復活に深い感謝と感動を覚えることだろう。 「なにかと闘うというのは、これまでの人生を通してずっと経験してきたこと。私は文字通り、孤児だった。だから大きな感情のトラウマを抱えている...

続きを読む