時代の寵児を切り取ってきた、伝説の写真家の眼差し。

文:新谷洋子

5月初めに80歳の誕生日を迎えた鋤田正義。この大御所フォトグラファーをカメラの反対側に立たせたドキュメンタリー映画『SUKITA 刻まれたアーティストたちの一瞬』は、彼の被写体となったアーティスト、コラボレーター、仕事仲間、家族の証言を交えて、故郷の福岡県直方市にある原点から、丹念にその足跡を辿った作品だ。  なにも傘寿記念などと謳っているわけではないが、その功績を改めて知るにはタイムリーな年かもしれない。  タイムリーと言えば、2年前のデヴィッド・ボウイの死も、40年にわたって彼を撮り続けた鋤田が改めて注目を浴びる契機となった。ここにはもちろん、そのボウイのアルバム『ヒーローズ』のジ...

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