歌詞387篇の新訳が示す、天才ストーリーテラーとしてのボブ・ディラン
古くからのボブ・ディランのファンだけでなく、少しでも音楽、いや芸術に興味がある人は必携の2分冊だ。発刊直後に予定されていた来日の中止は残念だが、音楽家初のノーベル文学賞受賞の後に、このような対訳集が世に出る意義は大きいと思うし、なにより同時代を生きて、追いかけ続けてきたファンにとっては、自身の半生を顧みる指標にもなるので感慨深いはず。 デビュー作『ボブ・ディラン』から現時点での最新作『テンペスト』まで、全オリジナル・アルバムに収められた387篇におよぶディランの自作詞を、すべて新訳で収録。原詞と対訳が同じページにレイアウトされていてわかりやすいし、どのフレーズがどう訳されているか解読す...
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