四角い美術館で働く四角い人は、身に覚えのあるいつかの自分かも。

文:Mika Hosoya

箱モノ行政、杓子定規、お堅いなど、美術館をめぐる形容詞には、とかく四角いものが多い。映画『ザ・スクエア』はその名の通り、四角四面な美術館を舞台にした悲喜劇である。 主人公は架空の「X-王立美術館」チーフ・キュレーターのクリスティアン。インタビューやスピーチでは知的な言葉を操り(ただし、引用とたとえ話ばかりで、彼自身の言葉はほとんどない)、クルマは環境に配慮したテスラと、いわゆる「意識高い系」のエリートだ。一夜をともにした記者のアンによると、彼は「プライドが高く、地位と権力を利用して女性を征服しようとする男」。スピーチ前にはアドリブ風のコメントまでをも入念に練習し、美術館の行き過ぎた広報...

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