ひとりで糸を編んで、 私のニット世界をつくる。

手編みのニットには、数多いファッションアイテムのなかでも際立った個性がある。大きな特長は、一本の糸だけでつくれる服ということ。さらに、最初から最後までたったひとりで製作できることも見逃せない特徴だ。手編みの作業は、画家がひとりでカンヴァスに向かい、絵筆を走らせるのと似ている。ニットは、個人の思い入れや感情がそのまま形になるのだ。 「ニットクリエイター」を名乗る蓮沼千紘も、こうしたニットの特性に魅せられた人物である。 「ファッションブランドと、ミュージシャンの衣装などをおもに手がけています。アシスタントはいますが、編むのは自分ひとりです。編む行為を通じて内面が表れるんです。生地づくり、パ...

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