さまざまな光に彩られた、 フラメンコ・ギターの音色。

文:原 典子

光が強ければ、そのぶん影も濃い。フラメンコといえば、強烈なコントラストが織りなす世界をイメージする方も多いことだろう。しかしカニサレスの新作アルバムは、柔らかな木漏れ日や神秘的な月の光など、温度や色合いの異なる様々な光に彩られている。  フアン・マヌエル・カニサレス。かつてパコ・デ・ルシアのバンドでセカンド・ギタリストを務めて頭角を現した彼は、いまやフラメンコ・ギターの最高峰に立つ存在であると同時に、クラシックの分野でも高く評価され、ベルリン・フィルとも共演している。ここ数年はアルベニス、グラナドス、ファリャといったスペインのクラシックの作曲家たちの作品に取り組んでいた彼の、8...

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