不穏な時代だから聴きたい! 政治に異を唱えるプレイリスト

文:新谷洋子

その昔、時の政権に歌で異を唱えたがゆえに、ヴィクトル・ハラは命を落とし、カエターノ・ヴェローゾは投獄され、ミリアム・マケバは亡命を余儀なくされた。これらは極端な例だが、歴史を通じてミュージシャンたちは言葉と音でポリティカルな意思表示をし、場合によっては為政者が脅威を感じるほどのインパクトを与えてきた。ならば、なにをもってポリティカルな音楽と呼ぶのか? 本書からは、さまざまな形の差別、搾取、自由の制限、不公正を糾弾し、議論する場をつくり出して変革を求める音楽――というラフな定義が浮かび上がる。  もっとも、これはガイドと銘打っていながら系統立てたマニュアルの類ではなく、呼びかけ人のアー...

続きを読む