世界を目指す少女のドラマに、ハッとさせられる共時性を見た。

文:水道橋博士

『ダンガルきっと、つよくなる』は、「インド映画で世界興収ナンバー1」「昔、レスリング選手であった父が娘に夢を託し国際大会の金メダルを目指す物語」と、事前に断片的なデータを知らされていた。  インドの国民的スター、アーミル・カーンの主演作は 『きっと、うまくいく』、『PK』を観ていた。傑作だった。故に「きっと、面白くなる」ことは確信していたが、レスリングを題材にエンタメが成立するのかは疑問があった。レスリングはルールの専門性が高く、日本女性が最も実績のある五輪大会ですらも「面白さ」からは遠いという先入観があったからだ。  試写後、この予断は見事に覆され、すぐに惹句を書いた。「インド人...

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