丹念な取材が描き出した、蔡國強といわきの男の物語。
福島第一原発から南に43㎞の里山を舞台に、現在も進行中の「いわき万本桜プロジェクト」。訪れる人もなくなった故郷に、9万9千本の桜を植えて世界一の名所にしてみせると、この地に生まれ育った実業家の志賀忠重が手弁当で始めた。2011年5月に第1回の植樹を実施、13年春には里山の一角に現代アート界のスーパースター、蔡國強による「回廊美術館」を開館。美術館の取材に訪れた著者は、“いわきのおっちゃん”そのものの風貌の志賀と蔡の間に、30年以上にわたる深い交流があることを知る。一見、無関係そうなふたりの男。本書は丹念な取材によって、その交流の謎を解き明かしている。 実は私自身も16年秋、このプロジェ...
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