本格ブレイクを確信させる、たまらなく沁みるジュリアン・ベイカーの歌。

文:鈴木宏和

【Penが選んだ、今月の音楽】 いわゆるコロナ疲れに対する、自分の内なる反動というものなのだろうか。素晴らしいリリース作品が多かったこともあるのかもしれないが、気が付けば内省的な、フォーキーな音楽に惹かれるようになっていた2020年だった。実際にステイホームの環境下でリモート制作された、パンデミック・アルバムとも呼べるテイラー・スウィフトのサプライズ2連作には、聴くほどに慰撫されるような安らぎを覚えたし、フィービー・ブリジャーズの新作における、流麗なサウンドと共鳴する歌の凜とした強さは、聴くたびに胸に突き刺さってきた。 そして、ジュリアン・ベイカー。くしくも、フィービー・ブリジ...

続きを読む