古都コルドバの風景が浮かぶ、現代のフォルクローレ

文:栗本 斉

もうずいぶん前になるが、アルゼンチンのコルドバという街を訪れたことがある。ここはのんびりと散策するには最高の場所だった。中心部に小さな川が流れ、美しい石畳の舗道があり、古い教会がいくつも目に入った。なにより、南米最古といわれる大学があるためどこに行っても学生が闊歩しており、古都なのにフレッシュな空気に包まれていたのが印象的だ。  この街を拠点に活動するシンガー・ソングライター、ルカス・エレディアの歌声を聴くと、あの旅の風景が自然に浮かび上がってくる。2010年にアルバム『AdentroHayUnJardín』でソロ・デビューしてまだ10年に満たないアーティストであるが、落ち着いた語り...

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