麻薬ビジネスを経済学で暴けば、優良企業に酷似していた!

文:内藤 順

経済学という学問には、「人間は合理的な判断をする」という大前提が存在する。ある意味、人間社会を理想空間として考えるからこそ、メカニズムを解明することが可能になるのだ。  だが実際は、私たちの社会は不合理な出来事に満ちており、そこに経済学と現実社会との乖離が生まれる。しかし、これを裏返してみたらどうだろうか? つまり、不合理に思える領域が、ことのほか合理的なものであったなら……。それが本書のチャレンジである。  麻薬カルテルの世界と経済学、相入れないと思われた両者を結びつけた本書において、経済学はきわめて実践的に機能する。『エコノミスト』の編集者が世界中をくまなく取材して見えてきた裏...

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