異国で出合った楽隊の行進に、触発されて紡がれた音。

更紗のようにきめ細かく形作られた音に身を委ねていると、どこか遠い異国へ連れて行ってくれる。ベイルート名義で活動するザック・コンドンはそんな不思議な音楽を生み出す天才だ。米国のサンタフェ生まれながらも、バルカン音楽に影響されたアルバム『グーラグ・オルケスタル』でデビューして以来、フランスのシャンソンやメキシコのマリアッチなどからインスパイアされた独自の世界を築いてきた。いわば、旅するように音楽を紡ぎ続けてきたと言っていいだろう。 実際、新作『ガリポリ』に関しても、異国でのユニークな体験が重要なモチーフとなっている。ザックは、しばらく拠点を置いていたブルックリンを離れ、思い立ってベルリンへ...

続きを読む