ユダヤ人のアイデンティティに迫る、ある家族の迷いと決断の物語。
およそ持ち運びには向かない、1冊1kg以上もする大作だ。著者のジョナサン・サフラン・フォアは、処女作に続き、2作目も映画化された現代アメリカ文学の人気作家。11年ぶりに上梓した3作目の小説は、アメリカの首都ワシントンDC在住のユダヤ人一家の物語である。 テレビ脚本家のジェイコブと妻と3人の息子、さらにジェイコブの父と母、祖父が登場する。彼らがユダヤ人としてのアイデンティティを大切にしていることは、長男サムの「バル・ミツヴァー」への関心の高さからわかる。これはユダヤ教徒の男子が13歳の時に行う重要な儀式で、祖父はそれさえ見届ければこの世に思い残すことはないと心待ちにしているほどだ。 ジェ...
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