北条政子も愛したと伝わる国宝が修理後初公開!「神の宝の玉手箱」展で“箱”が放つ聖性と魔力に酔いしれてみませんか?

文:坂本 裕子

「玉手箱」と聞いてまず思い浮かぶのは『浦島太郎』ではないでしょうか? 乙姫から別れ際に手渡され、開けると煙で老人になってしまう魔法の箱。そこには彼が龍宮城で過ごした“時”が詰まっていたのでした。 「玉手箱」とは“玉なる手箱”の意。浦島が手にした箱にも豪華で美しい意匠が施されていたのでしょう。所有者の身分や収納品の価値が高ければ高いほど美しく仕立てられる箱は、時に神性さえも帯びて語られます。「手箱」はその代表格で、貴人の手回り品を入れるものがその時の最高の装飾技術で飾られ、愛でられ、奉納されてきました。特に中世のものは、貴族階級の台頭と、蒔絵や螺鈿など漆芸の技法が出揃い凝縮されたことで、...

続きを読む