セザンヌやモネの名画が浮かび上がる、写真家・鈴木理策の作品展。

文:はろるど

故郷の熊野をはじめ、桜や雪、水面など、ハッとするような情景を撮ってきた写真家、鈴木理策の個展が、品川のキヤノンギャラリーSで開催中です。 綿あめのような白い雲が浮かぶ空、木漏れ日の差す森林に、大海の波に洗われる断崖。クリアに細部を表現したところもあれば、ボケもあり、風景を巧みに捉えています。なかでも、白い岩肌を露わにした山と青空とが鮮やかなコントラストをなした一枚は圧巻。息をのむほどに美しい風景ばかりですが、どこかで見たことがありませんか? そう、写真は、印象派など、近代の画家がモチーフに選んだ土地が舞台。まさに山は、セザンヌの描いたサント・ヴィクトワールであり、断崖は、モネやクー...

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