写真は記録であると同時に記憶でもある。写真家・瀬戸正人『記憶の地図』展がスタート

写真・文:中島良平

出合い頭の人物の素の表情を写した『Silent Mode』と、東京に住む外国人の暮らしをテーマとする作品『Living Room, Tokyo』で、1996年の第21回木村伊兵衛写真賞に輝いた瀬戸正人。被写体もテーマもさまざまに写真表現の可能性を追求してきた瀬戸の個展『瀬戸正人 記憶の地図』が、東京都写真美術館でスタートした。会場に入るとまず、虚ろな表情をした女性たちのポートレートが並ぶ。最新作『Silent Mode 2020』だ。 「90年代に『Silent Mode』を撮影したときは、心ここにあらずの人の顔を写そうとしました。それと同じように、まったく抜け殻になった人の姿を撮る...

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