なぞ多き戦国の画僧「雪村」に見る、“奇想”の源流と細部へのまなざし。

文:坂本 裕子

戦国時代、文化の中心地・京都ではなく、東国各地を遍歴しながら生きた画僧がいました。その名は、雪村周継(せっそんしゅうけい)。武家に生まれながら早くに出家、絵師として生地の茨城や福島、神奈川などを遍歴したその生涯は、生没年を含め謎に包まれています。しかし、遺された作品は、高い技術力とともに独特の奇抜さを持ち、いまなおその革新性に驚かされます。室町期の画僧・雪舟を継ぐ者として、自ら「雪村」と称したといわれる彼は、人気の若冲や蕭白、国芳ら “奇想の系譜”の絵師たちの先駆けとも位置づけられています。その15年ぶりの過去最大規模の回顧展が、東京藝術大学大学美術館で開催中です。雪村の作品は海外でも...

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