知られざる作品に出合える『生誕120年 東郷青児展』、メランコリックな美人像が見どころです。
文:坂本 裕子
メランコリックな美人像で、戦後大衆から圧倒的な支持を得た東郷青児。今年、生誕120年を迎え、特別回顧展『生誕120年 東郷青児展』が、東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館で開催中です。 弱冠19歳で二科賞を受賞し、日本最初期の前衛絵画を牽引するひとりとして話題となった東郷は、1921年から7年のフランス滞在でピカソとも交流しつつ、幾何学的構成と独特の詩情を獲得します。帰国後は、震災復興後のモダニズム文化の中で、シンプルかつ洗練されたデザイン性で人気を博し、雑誌の挿絵や本の装丁、室内や舞台装飾でも活躍します。幻想的な作品で古賀春江らと「新傾向」とも称されながら、30年代、彼の描く女...
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