戦後写真史に残る傑作を見るチャンス。男子修道院と女子刑務所を撮った「奈良原一高 王国」。

戦後を代表する写真家、奈良原一高の名作『王国』が東京国立近代美術館で展示されています。1958年に発表された『王国』は、北海道のトラピスト男子修道院と和歌山の女子刑務所という、世間から隔絶された場所に生きる人々を撮影した作品。普段見ることのできない異世界を写したモノクロームの写真は、ドラマティックなテーマと緊迫感が際立ちます。プリント全87点による全貌の紹介は東京では56年ぶりとなります。 奈良原一高は、早稲田大学大学院在学中の1956年、長崎の軍艦島と鹿児島の桜島という、やはり外界から閉ざされた人々の生活を取材した『人間の土地』で、鮮烈なデビューを飾りました。『王国』はそのテーマ...

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