銀座メゾンエルメスの建物を光学装置に変えるアーティスト、イズマイル・バリーの不思議な魅力。

写真・文:中島良平

パリとチュニジアのチュニスを拠点に活動するアーティスト、イズマイル・バリーの個展が銀座メゾンエルメス フォーラムでスタートした。人の身振りと結びつき、光と陰の関係、水や砂の物質性など、あらゆる事象への興味から行なった実験を出発点として静謐な作品を手がけるバリーは、展覧会を「大きな木も小さな木も植えられ、枯れた花があれば芽吹いたばかりの草も生えているひとつの風景」と説明する。 「私は物事を観察する。物事が生じるがままに注意を向け続けていると、そこには何かが立ち現れる。偶然によって驚きが生まれ、その驚きを伝えようとした結果が作品となる。つまり、作品を生み出すために計画を立てるのではなく、...

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