無機質な写真表現が、 新しい気配を生み出す。
陰影が少なく、コントラストの強い水谷吉法の作品は、奥行き感をほとんど感じさせず、見るものにきわめて平面的な印象を与える。「グラフィカルだと言われることも多いですが、極端に情報を少なくしたい、というのが僕の思いです」 大学を卒業する頃までは、まったく写真には興味がなかったという水谷。しかし、アルバイトをしていた古本屋で手にした写真集が、その後の彼の人生を大きく変えた。「ロバート・フランクの『The Americans 』でした。写っているのは道端に佇むおじさんやタバコを口にくわえた若者など、普遍的なシチュエーションなのに圧倒的になにかが違う。写真はこのように、新しい視点やモノの見方...
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