小さな声をすくい上げる、
ドキュメンタリー写真。

写真家、千賀健史はかつて物理の道に進もうとしていた。そしていまはドキュメンタリー写真に軸足を置いて活動している。物理とドキュメンタリーの共通点とはなんだろう? 「目に見えない新しい物理の法則や物質を見つけたいと思ったんです。誰も見ていないものをいち早く違うかたちで見たい。同時に、他者の生き方や考えにも興味がありました」  親しい人でも知らない人でも、表面だけ見ていたのではわからないことがある。たとえば千賀の写真集『サプレスド・ボイス』は彼が数年来通っているインドで出会った少年を追ったものだ。彼はインド北部のガヤという街で、貧しい人々のために開設されたフリースクールに通う生徒だったが、1...

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