モノトーンの絵から、
温もりが伝わってくる。

平松麻が本格的に筆をとったのは5年前。設計事務所や銀座のギャラリーで古美術や現代作家の作品に触れながら感性を磨き、じっくりと熟成させながら描いた世界は独特だ。「立体的に絵具を積層させ、乾いたらペーパーで研磨し、ミリ単位で細かな凹凸をつくっていきます。絵は平面であると同時に立体でもあると思っていて、自分が絵と過ごした時間と、その時々の気持ちの積層なんです」  白いカンヴァスではなく、床材やベニヤ板の木っ端に描く。いまは額装しないことの方が多い。「絵は正面からだけでなく、横から見るのも絵具がこぼれた様子が見えて私にとっては見どころのひとつです。額装すると空間との境界線が生まれて、厚みや凹...

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