色彩のマジックに驚かされるボナール展。オルセー自慢のコレクションが揃った今回は見逃せません!

文:はろるど

フランスのナビ派の画家、ピエール・ボナール(1867~1947年)の大規模展覧会が、東京では37年ぶりに開催されています。 ただ、こう書いてもピンと来ないかもしれません。ボナールの絵はぼんやりしていて、見てすぐに「うまい」とは言えないのが正直なところ。同じぼんやりでも、ルノワールほどの知名度はナシ……。けれども、会場で『ボート遊び』に目を凝らしてください。色や形が揺らめいて、まるでざわざわと動いているように見えませんか。そう、ボナールは色彩の魔術師。川面に映る雲や、枝を垂らした木立、そして小高い丘を、さざ波が広がっていくかのように色を広げて表現しています。「絵のほうを生きているようにす...

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