子どものころに誰もが読んだ、ロングセラー絵本、『ちいさいおうち』が伝えるメッセージとは?
青い表紙とひなぎくの花に囲まれた赤い小さなおうち。幼いころに手に取った方も多いでしょう。絵本『ちいさいおうち』は、アメリカの美しい田園風景の中で幸福そうにたたずむ小さな家が、次第に開発の波に呑まれ、超高層ビルの谷間に取り残されてしまう姿を描いたロングセラーの絵本です。大都市で廃墟同然となってしまった「おうち」は、元の持ち主の「孫の孫のそのまた孫」に見出され、静かな田舎に移築されることになって再び穏やかな幸せを取り戻します。20世紀に急速におこった都市化と工業化を物語の中で見事に描き切ったこの作品は、社会学や建築学など、子どもの本の分野以外でも高く評価されてきました。 作者のヴァージニ...
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