イメージと物質の間で、油彩の可能性を探る。

これは絵ではなくオブジェでは?そう思えるほどの厚塗りでインパクトを与える高橋大輔の絵画。平面の世界だと思われている絵画の、奥行きや物理的な厚みを感じさせる作品で評価されてきた。その彼の作風が少しずつ変わりつつある。向こうが透けて見えるような薄塗りの絵画が現れているのだ。  高橋が絵画に興味をもつようになったのは、中学生の時に見たムンクの『叫び』がきっかけだった。 「油絵という妙な道具で、空が真っ赤というおかしな世界を描いている。テーマも不安だったり恐れだったり決してポジティブではない。こんな妙なものが芸術として認められているんだ、とびっくりしたんです」  だが、美大卒業後、生活と制作の...

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