創設60周年を機に振り返る、国立西洋美術館のアイデンティティ
国立西洋美術館で、開館60周年記念として同美術館のアイデンティティ(存在証明)というべき展覧会『松方コレクション展』が始まった。この言い方は大袈裟だと思う人もいるかもしれないが、決して言い過ぎではない。なぜなら、国立西洋美術館は「松方コレクション」を収蔵・展示するために創設された美術館だからである。 「松方コレクション」とは、明治の元勲、松方正義の三男で川崎造船所社長だった松方幸次郎(1866~1950年)が、大正中期から昭和初期にヨーロッパで収集したモネなどの印象派絵画、ロダンなどの彫刻、浮世絵など、総数1万点にもおよぶ大コレクションのことだ。松方はなぜ、これほど膨大に美術品を購入...
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