あえて“額縁”に光を当てた、意欲的な展覧会。

文:河内秀子

絵を鑑賞する時、最初に額縁を見るという人はごく少数だろう。ブリュッケ美術館で開催中の『切り離すことはできない』展は、あえて額縁に光を当てた意欲的な展覧会だ。20世紀初頭、「新しい芸術には新しい枠が必要」と主張した、ドイツ表現主義の流派「ブリュッケ」。彼らの作品とともに、額縁の価値や変遷をたどる。 金のバロック装飾の額縁が定番だった時代に、ブリュッケの芸術家は、人間の内面を描く激しい作風に合う、武骨で力強い木枠をつくり始めた。額縁に模様を描いたり彫刻したり、絵の中の色を取り入れたり。芸術家自身がつくり、作品と一体化して「総合芸術」となった額縁。美術史における、その価値を問い直す好機となり...

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