京都で出合う暮らしの道具に魅せられて。
第3回 気軽に行ける骨董編
昨年12月の京都特集連動企画としてはじまった「京都で出合う暮らしの道具に魅せられて」。第1回「古い道具編」、第2回「職人の手仕事編」に続く今回は、古今東西のよきものが集まる京都ならではの「骨董編」を紹介。京都で骨董というと“敷居が高い”、“高価”、“入りづらい”というイメージがありますが、ここで紹介するのは、日常に楽しめるアイテムを揃え、気軽に骨董を楽しんでほしいという店ばかり。それぞれの店主自慢の逸品とともに紹介します。
写真・蛭子 真 文・小長谷奈都子ANTIQUE belle
北野天満宮の骨董市からスタートした、前田隆汎(たかひろ)さんが営むアンティークショップ。李朝や古染付、古伊万里など本格的な骨董から、明治・大正のガラス、昭和初期のレトロなカップ&ソーサー、ビーカーやフラスコから家具や雑貨まで、幅広い品揃えは、眺めているだけで楽しくなります。蔵や倉庫を丸ごと買取ることもしているため、その時々でガラリと商品が変わることも。「古いものはその時代ならではの技術や制約など楽しみのベクトルがあって面白い」と前田さん。露店時代の価格をキープしたいと、価格設定も手頃です。同じく経営する人気の煮込み料理店「にこみ鈴や」では、骨董のうつわがさりげなく使われ、使い方のヒントも学べます。
こっとう 画餅堂
「興味がある方はどんどん話しかけてくださいね。ほかのお店では怒られそうな質問にも答えますから」と笑う、こっとう画餅洞(わひんどう)店主の服部元昭さんと朝日久惠さん。自分たちで改装したという西陣織工場跡の店内に、使って楽しいものから眺めて楽しむものまで、時代や国籍を問わず集められた心に響くものが並びます。たとえば、弥生土器の残欠、金継ぎされた李朝の猪口など。既成概念にとらわれず、想像力を刺激するような日常生活への取り入れ方に、これまでと違った骨董の見方が広がります。コレクターから大学教授、小学生まで幅広い客層が、この店の懐の深さを証明済み。毎月25日の北野天満宮の骨董市と合わせて立ち寄るのもオススメです。
座辺の骨董 幾一里
型染作家・関美穂子さん作のポップな暖簾をくぐると、どこか懐かしく、ほっとくつろげる和の空間が広がります。ここ幾一里(いくいちり)は築100年の京町家を改装したお店。「土や木の香りのする古民藝が好き」と話す店主・荒井徹さんの審美眼にかなった、瀬戸や伊万里などの古陶磁器や漆器、布、宗教美術、戦後の白磁の器などが並びます。手頃なものから値の張るものまで幅広い品揃えで、なかには味わいのある古い木の農具や大正ガラスの大きなジョウゴ、錆びた鉄の網など、インテリアのアクセントになりそうなユニークなものも。穏やかな荒井さんの話に耳を傾けながら、ついつい長居してしまいそうです。年2回開催される現代工芸作家の個展も見逃せません。
大吉
1989年に割烹料理屋から骨董店に鞍替えした寺町二条の「大吉」。古伊万里の専門店としてスタートし、いまでは弥生から大正時代まで和洋のものを幅広く取り揃えています。現在店を切り盛りするのは2代目の杉本理さん。「民藝が好き。どの時代やジャンルでも生活のためにつくられた道具に惹かれます」とのこと。特に「使えば使うほど味が出る」という酒器は充実のラインアップ。骨董のほか、先代・杉本立夫さんが「泥牛」として作陶していた頃の作品や現代作家のうつわも人気です。また理さんは大の音楽好き。料理屋の名残のカウンターでは、心地よいジャズやブルースをBGMに、骨董のうつわでコーヒーブレイクという贅沢な時間が過ごせます。
大吉
京都市中京区寺町通二条下ル妙満寺前町452
営|11時〜18時30分 (喫茶12時〜17時)
休|月
☎︎|075-231-2446
www.instagram.com/sugimotoosamu/
京都市中京区寺町通二条下ル妙満寺前町452
営|11時〜18時30分 (喫茶12時〜17時)
休|月
☎︎|075-231-2446
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