国宝、重文が100件以上! 上野に集結した千年の至宝「春日大社」展に詣...

国宝、重文が100件以上! 上野に集結した千年の至宝「春日大社」展に詣でませんか?

松平定信の命により、模本完成された絵巻。興福寺の僧が夢でご神体である四神が開かず門を入るのを見たという1シーン。神人とともに取り囲む鹿たちがかわいい。 春日権現験記絵(春日本)巻十二(部分) 江戸時代・文化4年(1807) 春日大社蔵 通期展示(場面替有)

奈良時代の初めに国家平安と国民の繁栄を祈願して創建された「春日大社」。約20年に一度行われる建替・修繕の「式年造替」が2016年に60回目を迎え、それを機に神殿に伝来され、大切に保管されてきた「古神宝」の数々が、上野の東京国立博物館・平成館で公開されています。めったに拝観することが叶わない貴重な春日大社の名品が一堂に会し、国宝、重要文化財も100点以上という空前の規模での展覧会です。

四殿からなる春日大社の本殿は、武甕槌命(たけみかづちのみこと)が常陸国(現在の茨城県)から鹿に乗って御蓋山(みかさやま)山頂に降臨したことに始まります。その後、経津主命(ふつぬしのみこと)、天児屋根命(あめのこやねのみこと)、比売神(ひめかみ)を迎え、768年に現在の形となりました。
以後、藤原家の帰依を中心に貴族たちに支えられ、鎌倉以降には武家たちの信仰を集め、現在に至るまで多くの祈りが捧げられています。なんと今も年間で2000回以上の神事を催行しているのだとか。

展覧会の会場は6章に分けられています。「神鹿の杜」では、春日大社のアイコンともいえる神鹿が造形化された姿を見ます。神聖ながら愛らしい姿は、神々を身近に感じさせてもくれます。

「平安の正倉院」では、その名の由来である平安貴族たちの美意識が反映された美しい奉納品を堪能します。国宝の《金地螺鈿毛抜形太刀》は必見! 日本美術の技術の高さとセンスに驚嘆です。

「春日信仰をめぐる美的世界」では、神仏習合の思想を背景にした信仰のかたちを確認します。多数描かれた曼荼羅図や縁起絵巻、さまざまな工夫を凝らした舎利厨子などが楽しめます。日本絵巻史上最高峰といわれる鎌倉期の《春日権現験記絵》(展示場所は1章)もお見逃しなく。
「奉納された武具」では歴史上の偉人たちがその神性にあやかることを祈り、贅と技を凝らして奉納した武具が紹介されます。国宝の鎧や刀剣の数々は、圧巻の迫力です。
「神々に捧げる芸能」「春日大社の式年造替」では、現在にも脈々と継承される祭りと造替の姿を、古今の祭祀具で体感します。平安時代から伝えられる舞楽の面や衣装から、このたびの造替で奉納から「撤下」され、目に触れることが叶った「御間塀(おあいべい)」(各社殿をつなぐ塀)に描かれた絵画も初披露されます。

1000年を超える信仰のかたちとその伝承の物語を、社の奥深くに秘蔵され、大切に守られてきた日本美術の多様な美に観る、貴重な機会。めでたい初春の展覧会として「詣」でてみるのはいかが? (坂本 裕子)

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春日大社の起源を描いた江戸期の絵巻の始まり部分。神殿が鳴動し、春日の神が橘氏の女(むすめ)に憑依葦して信託を述べるシーン。やはり庭に鹿が控えており、アイコンとなっています。 春日権現験記絵(春日本)巻一(部分) 江戸時代・文化4年(1807) 春日大社蔵 通期展示

2016年の式年造替に伴い、復刻事業のための調査で金具の多くが金無垢であることが判明したという黄金の太刀。活き活きとした猫と雀の螺鈿模様とともに、その精緻で美しいさまは必見です! 国宝 金地螺鈿毛抜形太刀 平安時代・12世紀 春日大社蔵 展示期間1/17(火)~2/19(日)

春日社第一殿の神、武甕槌命が鹿の背に乗って常陸国鹿島から春日の地に降り立った伝承を図像化したもの。金で描かれるのは月輪。本来は姿を描くことがはばかられた神を貴人に表わしています。右下の二人は従者だそう。 鹿島立神影図 南北朝~室町時代・14~15世紀 春日大社蔵 通期展示

鎌倉末期に奉納されたと考えられる国宝の鎧。豪奢な文様、金物の細工、精緻で鮮やかな糸威も美しく残り、日本工芸の粋を集めた姿は武具に神性を求めた祈りのかたちです。 (左)国宝 赤糸威大鎧(梅鶯飾) 鎌倉時代・13世紀 春日大社蔵 展示期間1/17(火)~2/19(日)/(右) 国宝 赤糸威大鎧(竹虎雀飾) 鎌倉~南北朝時代・13~14世紀 春日大社蔵 展示期間2/14(火)~3/12(日)

角があるのが狛犬、ないのが獅子で、元は獅子の対が平安時代から狛犬と獅子の対になりました。各神殿に一対ずつ設置されていたもの。会場には四殿すべての対が並び、さまざまな姿態はちょっとユーモラスで笑みを誘います。 獅子・狛犬(第一殿) 鎌倉時代・13世紀 春日大社蔵 通期展示

「特別展 春日大社 千年の至宝」

開催期間:~3月12日(日)
開催場所:東京国立博物館 平成館
東京都台東区上野公園13-9
開館時間:9時30分~17時(入館は16時30分まで)
休館日: 月曜日
TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)
入館料:¥1,600

http://kesuga2017.jp/

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