エンタメと創造性を追求する、ソニーのイマーシブ技術

  • 編集&文:佐野慎悟

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高精細な映像と圧倒的な没入感を誇るXRテクノロジーが、ゲームの世界を超えて、さまざまな分野へ波及しはじめている。こうした動きを加速させているソニーの取り組みに注目した。 

Pen最新号は『いまここにある、SFが描いた未来』。SF作家たちは想像力の翼を広げ、夢のようなテクノロジーに囲まれた未来を思い描いてきた。突飛と思われたその発想も、気づけばいま次々に現実となりつつある。今特集では人類の夢を叶える最新テクノロジーにフォーカス。SFが夢見た世界が、ここにある。

『いまここにある、SFが描いた未来』
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ⓒ2022 Sony Interactive Entertainment Inc.

「VR元年」と呼ばれた2016年から、家庭用VRヘッドセットを販売し、シーンを牽引してきたソニー・インタラクティブエンタテインメントが、昨年ついに、シリーズ第2弾となる「PlayStation® VR2」を発売した。

前機種比でディスプレイの解像度を約4倍、明るさも2倍以上とすることで、圧倒的なHDRビジュアルを実現。また、ユーザーがフォーカスする中心視野ほど高解像度な描画を行う「フォビエートレンダリング技術」を導入し、より臨場感あふれる映像体験を提供している。コントローラーとヘッドセットには、それぞれVRの世界で受けるさまざまな感触を伝えるフィードバック機能やトリガー機能を搭載し、ゲームの世界への圧倒的な没入感を演出。さらに前機種から軽量化した上で、前後の重心バランスを最適化したヘッドセットは、頭を動かしても重さを感じにくく、違和感のない快適なゲーム体験を約束する。

ゲームの世界で親しまれてきた高精細でイマーシブな、没入感のある体験を、ゲーム以外の領域にも活かしていこうとする動きもある。ソニーは1月、アメリカ・ラスべガスで開催されたテックトレンドイベントCESにおいて、片眼4KのOLEDマイクロディスプレイを備えたXRヘッドマウントディスプレイと、3Dオブジェクトの精密な操作に最適化したコントローラーを備える、空間コンテンツ制作システムの開発を発表した。高精細なディスプレイと、ソニー独自の信号処理やレンダリング技術の組み合わせにより、3Dオブジェクトの質感や色を精細かつ忠実な色再現で表示できる上に、左右で異なる機能を持つコントローラーによって、精密な空間点の指定と、仮想空間内のオブジェクトとの安定的なインタラクションを可能にした。さらにディスプレイには、クリエイターが現実と仮想空間を行き来しながら、快適に作業できるフリップアップ機構を採用している。

このシステムは、今後さまざまな3D制作ソフトウェアへの対応が予定されている。その第1弾として紹介されたのが、シーメンスが開発を行う、産業用メタバースでの製品設計を可能にするNX™ Immersive Designerだ。ゲームの世界から広がるテクノロジーの革新が、エンタメとビジネスの可能性を拡張していく。

Play Station VR2

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ⓒ2022 Sony Interactive Entertainment Inc.
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ⓒ2022 Sony Interactive Entertainment Inc.

前機種比で4倍の解像度を持つ2つの有機ELディスプレイにより、4KHDRの映像と最大120fpsのフレームレートを実現。Play Station®5の「Tempest 3Dオーディオ技術」により、ゲーム内のサウンドがプレイヤーの一や頭の動きによってダイナミックに変化する。コントローラーに備えられた「ハプティックフィールドバック」は、あらゆる操作に対する反応をバイブレーションや強烈なパルスで伝え、「アダプティブトリガーボタン」は状況に応じた抵抗を表現。

空間コンテンツ制作システム

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ⓒSony Corporation.
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ⓒSony Corporation.

1月にCESで紹介された、ソニーが空間コンテンツ制作の新ソリューションとして共同で開発を行うXRデバイス。利き手に装着するポインティングコントローラーは、モデリング作業時に最適な形状とボタン配置が追求されている。反対側の手に装着し、回転、移動といったオブジェクト操作をサポートするリング型コントローラーは、キーボードとの併用時も着用したまま作業ができる。フリップアップ機構を採用したディスプレイは、眼鏡をかけたまま装着することも可能。

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